みなさんこんにちは。日本は暑い夏ですね。ルワンダは乾期真っ最中で日差しがとても強いですが、日陰に入れば涼しい風が吹き抜けていて快適です。今年は、ルワンダのいくつかの地域でマラリヤが流行していますので注意が必要です。
しばらく前になりますが、日本からの留学生の北村美月さんが「お花畑プロジェクト」で体験したことについて報告文を書いてくださいましたので掲載させていただきます。
ルワンダの女性たちからもらった勇気と希望
北村美月
ピアス留学生/東京外国語大学
みなさま、こんにちは。ルワンダからのお便りもこれで3回目となりました。今回は私が留学している大学付属の「平和と開発センター」が行っている「お花畑プロジェクト」について書かせていただこうと思います。
切り花生産プロジェクト、通称「お花畑プロジェクト」は、ジェノサイドの被害者である女性たちと、加害者を家族に持つ女性たちが協同でお花の栽培を行っているプロジェクトです。ルワンダはちょうど私が生まれた22年前に大虐殺を経験しました。日本では、自分が関わりたくないと思った人を避けながら暮らすことはそれほど難しくありません。しかし、ルワンダではそうもいきません。コミュニティー内の結びつきが強い上に、国民の大多数がジェノサイドの経験者であるため、被害者は自分自身や自分の家族を傷つけた加害者もしくはその家族と顔を合わせないわけにはいかず、加害者の家族側もいつか仕返しをされるのではないかという気持ちを抱えたまま被害者と共に暮らしていかなければならないのです。というのも、ルワンダ政府は、虐殺時に指導者であった人や特別に残虐な行為をした人を除き、罪を認めた加害者の刑期を半減させ社会復帰させる政策を行っており、ジェノサイドに加担した人々も刑務所ではなく普通のコミュニティーで生活をしていたからです。そこで、被害者と加害者の和解と共生を促すために始められたのがこの「お花畑プロジェクト」です。わだかまりを心に抱えた女性たちが共に働き、意見を交わしながら、お互いのことを理解し、信頼関係を回復していくことを目指しています。
昨年の10月に始まったこのプロジェクトには私も微力ながら関わらせていただいており、女性たちと一緒に畑を耕したり、球根を植えたり、肥料である牛糞を撒いたりとお花の成長を見守ってきました。そして、先月末、国のジェノサイド追悼期間に合わせて、プロジェクトに関わっている女性たちのグループが個人的に虐殺の追悼式典を行いました。その式典では、彼女たちが自分たちで育ててきたお花で素敵なブーケを作り、町にある共同墓地にお供えしました。その後は、被害者の女性たちがジェノサイドのときの自身の経験を涙ながらに語りました。彼女たちの話を聞き、涙を流す姿を見るのはとても辛かったのですが、そばにいた人が泣き始めてしまった人のもとに歩み寄り、被害者側・加害者側という立場に関係なくお互いに支え合う様子を見ることができました。加害者の夫を持つある女性は、共同墓地を訪れるのも追悼式典に参加するのも今回が初めてだったと言います。このプロジェクトを通じて、ジェノサイドに向き合うことができた証拠です。また、夫が刑務所に入れられているために十分な働き手がおらず、その女性は苦しい生活を送っているですが、被害者の女性たちの中にも彼女に同情する方たちが現れ、何とか彼女を支えてあげられないかという試みもあるそうです。
自分の罪を認めて謝罪をする。自分や自分の家族に対してひどいことをした人を赦し、和解する。このプロジェクトに関わるまではそんなことは可能なのだろうかと思っていました。しかし、彼女たちがまるで家族のようにお互いに支え合っている様子を見て、時間はかかるけれど決して不可能なことではないと実感しました。彼女たちの和解への道のりはまだまだ続きますが、一歩ずつ着実に進んでいる姿に勇気と希望をもらいました。ルワンダに実際に来なければ、見て感じ、そして学ぶことができませんでした。いくつもの貴重な経験をさせていただいているこの環境にとても感謝しています。